映画『告白』公式サイト
原作未読なんですが、中島監督作品で松たか子さん主演、とくれば観に行かねば!って感じで行って来ました。
賛否両論な作品ですが私は賛成派です。
かなり救いようのないストーリーで、中島作品としては珍しく色彩も統一性のある押さえた色調で、全体のトーンも美しいけど冷たい印象です。
普通なら現実社会の救い様の無さに辟易している自分としてはあまり惹かれない作品性なんですが、なんだろう、観ながら作品世界にグイグイ引き込まれる自分がいました。
主人公である中学校教師森口悠子の衝撃的な告白から始まる物語。
原作未読なので、最初は犯人の生徒を突きとめるストーリーなのかな?と思ったのですが、思いのほか早めに犯人がわかってちょっと驚きました。
そこから女子生徒から森口先生への手紙のような告白、生徒の母親の告白、犯人の生徒達の告白と続きます。
その間にクラスメイト達の犯人へのエスカレートするイジメや犯人達のバックボーンが描かれていき、最後の森口先生の告白で終わります。
そのラストでの森口先生の表情は…秀逸でした。
中島監督が松さん以外考えられないといったのも分かる気がします。
この主人公の心理は考えれば考える程深く複雑な気がするので。
ヤフコメの否定派のレビューを見ると、この作品を道徳的にどうだ、とか薄っぺらいという感想をもたれる方もいるようですね。
まぁ、個々の感想はひとそれぞれなので理解はしますけど、世の中道徳的で綺麗事ばかりではないでしょう?とも思うんですよ。
この作品に表現される人間の傲慢さ、自己愛の偏重ぶり、思春期の稚拙さと残酷さ、加害者への怒り・法への不満、復讐への衝動etc.…それぞれ人間がどこかに持っている暗い部分をあからさまに見せつけられているような、それでも頭から拒否できないのは自分のどこかに繋がっているところを感じているからなのか…。
うまく言えませんが、ずっしりと重い、でも不思議な充実感を残して観終わりました。
原作を読んでみたいんですけど、近くの本屋さんに行っても見あたらないので困ってます。私の探し方が悪いのか^^;?
Smaステの『月イチゴロー』で吾郎ちゃんがダントツ1位にした後で「傑作ではなくて問題作」「ホラーより怖い」と評していましたが納得です。毎回吾郎ちゃんの感想コメントは上手いし分かりやすいんだよなぁ^^。
これはホント劇場でズッポリ作品に埋もれて観てほしいと思います。